「HEMS(ヘムス)」という言葉をご存じでしょうか。「Home Energy Management System」の略で、家電や住宅の設備を適切に制御してくれるシステムのことを指します。
具体的にはどのような機能があるのでしょう。今回は暮らしの利便性が高まるうえに節電効果も期待できる「HEMS」についてご紹介します。
■外出先でも家電や住宅設備を制御できる
家電や住宅設備とHEMSをひも付けることで、どこにいてもスマートフォンやタブレットなどから操作できるようになります。
たとえば冬に帰宅するとき、住まいまで寒かったらげんなりしてしまいますよね。HEMSを使えば、帰宅時にスマホでお風呂の湯沸かしを依頼したり、暖房を付けたりできるので、常に室内を快適な状態に保てるのです。
また洗濯が終わったときにお知らせしてくれたり、照明の点けっぱなしを通知してくれたりする機能もあります。無駄な電気代が発生しなくなるでしょう。
さらに、リビングや子ども部屋などの電気使用量が増えることで、室内に人がいることを感知します。それによりお子様をはじめとする家族の帰宅時間を推測し、スマホで通知してくれるのです。共働きの家族にとっては嬉しい機能でしょう。
■スマホで室内の状況を常に把握できる
HEMSを導入すれば室内外の温湿度が、逐一スマートフォンに送信されます。現在の状況を把握し続けることができ、エアコンの設定温度などを考えるヒントになるでしょう。また外出する際の服装のチョイスや熱中症予防など、あらゆるメリットにもつながります。
■HEMSは節電効果も抜群
なんといってもイチバンの魅力は節電効果でしょう。リビングや子ども部屋、キッチンなど、部屋ごとの消費電力量がすぐに分かります。「省エネ」「注意」「使いすぎ」と3段階で色分けしてくれるので、どの部屋の電力を節約すべきなのが一目瞭然なのです。
また、あらかじめ1日の消費電力量を設定することで、もし電力を使いすぎてしまった場合は、自動で節電モードに切り変えてくれます。
たとえば暖房の設定温度を27℃にしていた場合、自動で25℃などにしてくれる。照明の場合も同じです。生活に不自由がない程度まで明度を落としてくれます。無駄な電力消費を抑えられるのは大きなメリットです。
常に電気代を確認できるのも魅力的な機能。月単位でリセットしてくれるほか過去のデータと照合できるので、節電への意識が高まるでしょう。また電力会社を登録しておけば、それぞれの生活リズムや消費電力量を踏まえたうえで、変更すべきプランを提案してくれる機能もあります。
最適な電気の使い方を教えてくれるほか、日ごろから家族全員の節電意識が高まることで、大幅に電気代をカットできるよう促してくれるのです。
■2030年までに全世帯への導入を目指す
省エネによる二酸化炭素量の減少を目指すうえで、HEMSは大きな役割を担っています。地球環境の改善に大きな成果をもたらすことが期待されているのです。そこで日本政府は2030年までに日本の全世帯でHEMSの導入を目指しています。これからHEMSはより身近で当たり前の存在になっていくでしょう。
現在はシャープやパナソニック、東芝、NTT東日本などがそれぞれHEMSをリリースしており、現状は他のメーカーの家電に対応できません。しかし、これからは垣根を超えて使えるよう整備される方向です。
また普及率を高めるために、国や地方自治体などでは補助金が出る場合があります。政府の補助金としては2011年と2013年に交付されました。
2018年現在、補助金の交付はストップしていますが、2030年までに全世帯に普及させると明言する以上、これから補助金が出る機会も増えることでしょう。
ぜひ今のうちに導入して、スマートで効率的な暮らしを実現しませんか?